杉本圭ができるまで

1泊2日の福井旅から1週間。杉本さんのお陰で1日の内容とは思えないほどに濃厚な時間を過ごさせていただき、のぼせたまま新幹線に乗り込んでミュゼをオープンさせたのは先週の今日のこと。あれからじっくり寝かせて熟成させた杉本圭での様子をお伝えします。(第一弾です)

今年最後かもと言われるほどの快晴の中、まずは杉本さんに会いに事務所へ。ホームの空気を吸ってからいつもお世話になっている杉本圭の長谷川さんの車でメタル、アセテートそれぞれの工場と素材を扱っている企業様へもお連れいただきました。

ここからいよいよ杉本圭ができるまで~アセテート編~です。(実際の工程はもっとずっと多いのでハイライトでお伝えします)

まず最初は大きな板状のアセテート(原料の綿花に酢酸系の薬剤を加えたプラスチックのこと)からフロント部分をカットするところからスタート。

眼鏡を横からよく見ると鼻の部分に凹凸があるのですがその工程の後に、ここではひとつひとつ金属パーツを埋め込んでいきます。(高温でプレスするイメージ)

そしてこちらが今回どうしても拝見したかった手磨きの工程。フロントとテンプル(つるの部分)が隙間なくフラットかつ滑らかにぴったり収まっているのはこういった細やかな作業の賜物です。

写真だとわかりにくいかもしれませんが段々と艶も出てきたところで、このあとには杉本圭の真骨頂であるソリッドなエッジを生み出す職人技へと続きます。

デザイナーの描いたゴールへいかにして辿り着くか、そこには熟練の技はもちろんのこと何としても達成しようという情熱と知恵と工夫があってこそ、とは今回の訪問で深く痛感したことです。その上で成し得たお手元を間近で見せてくださったことは言葉にしがたいほどにありがたかったです。

変わってこちらはガラがけの工程。先にご紹介した手磨きの工程も複数あるのですが、こちらはドラムのような箱の中にチップとよばれるもの(例えば木のかけら)と粉末や油と一緒に眼鏡を入れてガラガラまわすことで磨かれていくというもの。イメージは福引⁈ チップの素材や時間などレシピを変えてガラだけでも3段階、職人さんの手磨きと繰り返していくことであの艶が出てきます。

ガラを回し続けると粉末も油を吸ってボール状に。こちらは除かれるものですが、かけた時間を感じるコロンとした姿に思わずパシャリ。

こちらはバフがげ。ミュゼでも店長が作業している様子をご覧になったことのあるお客様もいらっしゃると思いますが回転する布の束に当てることで磨いていきます。

確認しながら繰り返すことでさらに艶々に。

これぞ杉本圭の美。

この後にも全体のバランスをとるなど様々な工程を経て、あの1本が完成します。ハイライトのご紹介になりましたが、大部分が手作業で丁寧に仕上げられているからこその、ぬくもり溢れる美しさのゆえんを少しでも感じていただけたら幸せです。

久しぶりの杉本さんと店長のツーショット。

杉本さんの温かさと誠実な男気を感じる眼鏡を、店長そのままの雰囲気が漂うグラスミュゼで是非ともお楽しみいただけましたら幸せです。本日もご来店誠にありがとうございました。

yuki

(photo: 1枚目は米原で乗り換えた特急しらさぎ。今回も運よく目の前で連結作業始まって青空のもと幸先のよい出張になりました)

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