セルとは眼鏡フレームの代表的な素材のひとつ。いわゆる綿花由来のプラスティックのことで、大きくアセテートとセルロイドがあります。じっくり寝かせた生地を丁寧な手仕事で磨くなど1本1本に愛情が注がれています。

杉本圭

セル生地の製造工程のハイライトは何と言っても磨き。職人技と一言にしてしまうとそれまでですが、神々しい作業風景は声も出せずにただ見とれるばかりです。
ここでは格別美しい杉本圭ブランドの製造現場から、ごくごく大まかな工程になりますがご紹介します。

①寝かせた生地を裁断して、1本ずつフロント部分をくり抜いているところ。

じっくり寝かせて乾燥させた生地は年月が経っても縮みにくくなります

②おおよそのフロントの形にくり抜いた生地をプレスして、平面に鼻の湾曲をつけていきます。

なんとなくの眼鏡らしさが増していきます

③この様にして一つずつ手作業で磨いていきます。(写真はテンプル=耳に掛ける部分)

杉本圭らしい鏡のような光沢や、ぴったり合ったフロントとテンプルの合口(あいくち=接合部分)はこの工程が肝になります。

④大きな福引のような回転するドラム缶のなかに、磨くために調合された木片などと一緒にフレームを入れてゆっくり回していく工程。

様々な条件を変えて何度も繰り返し磨いていきます。

調合の中身や条件は、ブランドによって様々。国によって気候条件の違いも関係しているようです

⑤バフ掛けといって、こちらも磨きの工程。高速回転する布に当てるようにして研磨します。

こちらはグラスミュゼの店内でも行っています

⑥艶々に美しく磨きあげられたアセテート生地。この仕上がりがすべてを物語ってくれます。

lafont

ずらり並んでいるのはセル生地の見本たち。思わず楽しくなるlafontならではのカラーリングはここから生まれます。

この奥には裁断する前の大きな生地が寝かせてありました

TRACTION PRODUCTIONS

挨拶が精一杯のフランス語でしたが、そんなことなどどこ吹く風。
ぬくもり溢れるトラクションはその場の空気と皆さんのお人柄にもルーツがありました。